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神戸地方裁判所 昭和52年(ワ)510号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

右買取請求の効力の有無について判断する。

1 本件建物が昭和五一年一月二四日火災にあつたことは当事者間に争いはなく、<証拠>によると、本件建物は昭和三四年に建築されたものであるが(この点は当事者間に争いはない。)使用資材の種別、品等、施工の質、量等は中等以下のものであり、前記火災当時既に一七年を経過してかなりいたんでいた上右火災による焼失のため昭和五一年八月当時、建物としての機能的、経済的効用の九八パーセントが失なわれていたことが認められる。

2 日新火災海上保険株式会社よりの、調査嘱託に対する回答(昭和五二年八月二三日付及び同年一二月一六日付)によると、原告開出淳名義で本件建物につき右保険会社との間で火災保険契約が締結されていたところ、右保険会社は前記火災による本件建物の損害の程度を全損と認定し、昭和五二年二月二七日合計三五九〇万円(その内訳は被告主張の通り)の保険金を原告開出淳の振込指定により原告開出ヨリエの銀行口座(太陽神戸銀行須磨支店)に振込み支払つたことが認められる。(因みに、<証拠>によると本件建物の再調達原価は二九四九万九〇〇〇円である。)

3 <証拠>には前記火災による本件建物の焼失合割は三〇パーセント程度である旨の記載並びに証言が存するけれども、前記日新火災海上保険株式会社の回答内容に照して到底措信し難い。又<証拠>には火災後の本件建物の修復は可能である旨の記載並びに証言が存するけれども、右各証拠によれば右修復の為に改築に近い工事を要するものであることが窺える。

4 以上の事実によると、本件建物は建物としての機能的、経済的効用の大部分を失つているものであつて、借地法四条二項の建物買取請求制度の設けられた趣旨、目的に照らし、最早や同条項所定の建物に該当しないものと解するのが相当である。

(林義一)

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